Reclaim the Earth!

コンサルタントのブログ

脱炭素!

6月に入って、あっという間に1週間が経ちました。

5月の末から我が家のドウダンツツジが満開になりました。1週間くらいで花は落ちてしまうのですが、この花が咲いた頃から札幌は1年で一番良い気候になります。あいにく去年も今年も緊急事態宣言で、美しい札幌の初夏を楽しむことができません。

新型コロナウィルスのパンデミックで人々の暮らしは一変しました。
ワクチン接種が広がり、行動の制限が徐々に解除されたとしても、もう、元のような暮らしには戻らないでしょう。

20世紀型の経済成長システムであった、大量生産、大量消費から、持続可能な開発目標、すなわちSDG’s 型の経済発展に急速に転換することでしょう。農業政策についても、先日の「みどりの食料システム戦略」は、見方を変えれば、それを先取りした形になっています。

ヨーロッパや日本など高齢化が進み、人口減少が始まっている地域では、持続可能な農業を推進する動きが加速する反面、大規模に大量生産をしている国々や途上国など食料を必要としている国々との格差が顕著になると思います。
まだまだ経済発展を量的に期待する国々と、成熟した経済で質的な向上を期待する国に分かれると思います。
政府が目指す有機農業は質的な発展であり、これを理解する国民がどれだけいるか、すなわちマーケティングができるかどうかが課題となると思います。

いずれにしても、日本はSDG’s的な発展を目指さざるを得ない状況になったことを早く理解しなければならないと考えます。

有機農業と慣行農業

農水省が発表した「みどりの食料システム戦略」では、有機農業の取り組み面積を100万ha(農地の25%)に増やす目標を掲げています。同時に化学肥料の使用量の30%削減と化学農薬の使用量の50%削減するとしています。

有機農業については、平成18年に制定された「有機農業推進法」の第2条に下記のように定義されています。

化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこ と並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷 をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業をいう。

平成30年時点での有機農業の取り組み面積は23.7千haで耕地面積全体の0.5%に過ぎません、これを2050年までに100万haにするというたいへん大きな目標になっています。そのために、現在の化学肥料、農薬の代替技術を開発するとしています。

有機農業の定義に当てはまらない農業は「慣行農業」と言われています。平成30年時点で、慣行農業の耕地面積は99.5%を占めています。有機農業は平成21年時点で0.4%です。10年間で0.1%しか増えていません。

なぜ、有機農業が普及しないのか?
理由は多くあると思いますが、ざっくりと言えば、現状の技術では、手がかかるわりに生産量が低く、生産したものも高く売れない。ということだと思います。2050年までに耕地面積の50%をクリアするためには、少ない労働力で生産可能で農業経営的に再生産可能な価格で売れる。ことに尽きます。

近代農業は農地の生産性を高めることを目的に発展してきました。生産にかかる労力や肥料や農薬等の資材といったインプットをできるだけ少なくして、アウトプットとして大量に収穫する技術がベースになっています。大量に安定して生産することによって食料の価格が安定しました。

農産物をできるだけ多く生産するためには、作物栄養が良好でなければなりません。作物は窒素やリン酸、カリウム、その他のミネラルなど無機の状態で植物体内に取り込みます。効率的に栄養を吸収するためには、すぐに利用できる無機体の栄養素が根の周辺になければなりません。そのために開発されたのが化学肥料です。

化学肥料を施用せずに、化学肥料と同等の生産性を維持するためには、堆肥などの栄養素を含む有機物を大量に施用しなければなりません。化学肥料の場合、窒素、リン酸、カリなどの主要成分を数%から数十%含みますが、堆肥の場合は、ものにもよりますが、せいぜい5%程度で50%以上の水分を含んでいます。同じ肥料効果を得るためには何十倍もの重量、容量の堆肥を散布しなければなりません。しかも、肥料成分は有機物の構成要素となっているため、一度、微生物によって有機物が分解されて無機の状態にならなければ取り込まれることがありません。微生物の活動は地温や水分量などに影響を受けるため、施用してから作物に吸収されるまでに時間がかかります。

さらに、堆肥は一般的には畜産農家で生産されます。堆肥を必要とする耕種農家との距離が離れていれば、運搬にもお金と時間がかかります。結果的に、作物栄養的な観点で見れば化学肥料よりもずっと高いコストが必要になります。

化学農薬については、除草剤がなければ全て人力でやらなければならず、多くの労働者を必要とします。高齢化と人口減少が著しい農村地帯で除草のための人員を確保することは容易ではありません。また、確保できたとしても人件費が農薬散布費用に見合わなければなりません。除草しなければ良いじゃないかとなりますが、雑草が繁茂すれば作物のための肥料は雑草に食われ、光合成効率も低下します。収穫の際の手間も大きく増えるでしょう。
農薬による防除はどうでしょうか?
一般的に効率的な農業をしようとすると、単一作物で構成されます。農地の生物多様性は少なく、病気が出たり、害虫が発生した場合、一気に広がってしまいます。これを予防するためには、種の異なる、さまざまな作物を混合して栽培して多様性を高めるなどの対応が必要ですが、農業機械によって一気に管理することができなくなります。当然、多くの労働力を必要とする割には生産性が低くなるため、コストが高くなってしまいます。

肥料や農薬という資材と、労働力というインプットをどのように改善するかが、有機農業50%を実現するためには欠かせません。また、それ以上に、有機農産物を高く販売できるというマーケティングの思想が欠かせません。

有機農業推進法で定義される、化学肥料、化学農薬ゼロ以外は、全て「慣行農業」とされてしまいますが、慣行農業から有機農業に移行するのは、農業者だけの努力だけではどうすることもできません。そもそも、「生産性を重視した効率的な農業」から、「環境負荷を低減した持続可能な農業」への転換というパラダイムシフトは、同じ経営のラインにはなく、全く別の経営方法と言えるでしょう。

これを実現するためには、労働力を大幅に削減するロボット技術、軽労化技術の開発と農業労働力の確保、堆肥の生産、流通、施用のシステム化、生物農薬など化学農薬に代わる画期的な防除技術の開発を欠かすことはできません。農水省ではこれらを2040年までに確立するとしています。

同時に消費者の農業や食料に対する理解を深めること、民間レベルでの食農教育が最も重要かもしれません。

農水省、みどりの食料システム戦略を正式決定!

少し前のニュース(5月12日)になりますが、農水省が「みどりの食料システム戦略」を決定しました。資料をざっくりと読んで今後の農業政策に対して現場がどのように対応すべきか考えてみます。

ニュースサイトにもまとめられているように、ざっくり言えば、肥料や農薬の使用料を減らし、農機の電化などを通じて炭酸ガスの排出量を積極的に抑制、農地に炭素吸着することで農業の環境負荷を減らすとともに、スマート農業によって生産基盤強化を図りましょう。というものです。具体的なアクション・プランについても発表になっています。具体的な目標が示されているものについては以下の通り、畜産関係については、今後行うべき取り組みとしての方向性が示されるにとどまっています。また、これらの具体的目標を達成するために、「持続的な地域の産業基盤の構築」や「消費者の理解・行動変容」が挙げれれています。

地球温暖化対策(ゼロエミッション化)
・園芸施設について2050年までに化石燃料を使用しない施設への完全移行
・新規販売される農業機械について2040年までに化石燃料を使用しない方式に転換
・園芸分野において2035年までに廃プラスチックのリサイクル率を100%に引き上げ
・2030年までに、農地、草地におけるCO2吸収量を倍増

化学農薬の低減
・化学農薬のみに依存しない総合的な病害虫管理体系の確立・普及を図る。
・2040年までに新規農薬等の開発し、2050年までに化学農薬使用量50%低減を目指す。

化学肥料の低減
・2050年までに、化学肥料を使用量を30%低減

有機農業の取り組み拡大
・2050年までにオーガニック市場を拡大し、有機農業の取り組み面積の割合を25%(100万ha)に拡大
・2040年までに次世代有機農業技術を確立

農林水産省 みどりの食料システム戦略参考資料より

いずれも、持続可能性を優先するものであり、国連のSDG’sに準拠したものとなっています。
これまでも、個別に取り組みが実施されたものが、持続可能性に向けて集約されて整理されたとの印象です。

確かに、化学農薬や化学肥料の低減した先には、結果として有機(的)農業があるのですが、現在の有機農業(有機JAS認証を取得していないが有機農業が行われている農地を含む)は、0.5%(23.7千ha)です。これを30年間の間に50倍にしようとする計画です。欧州からの Farm to Fork を倣い、追随する構造になっています。果たして、有機農業の面積を増やすという結果の実現で、最大の目的である脱炭素が実現できるのかについては疑問が残ります。

有機農業を実践するためには、堆肥の製造や運搬、散布、除草、防除などで、慣行農業以上に人手とコストがかかります。生産性は低下し、マーケットでも受け入れられないならば有機農業の面積は増えません。目的と手段の間に合理的な説明が必要になると思います。

草地や畑地にはCO2を貯蔵することはできますが、土壌の種類によって吸着可能な炭素量は大きく異なります。また、耕起することで酸素に触れることで有機物の分解は進みます。積極的に堆肥をやることで土壌中の炭素貯蔵量は増えると思いますが、そこに期待するよりも、堆肥を入れることで土壌の物理性や化学性が改善されることに着目すると、生産性も維持することができるでしょう。

農業経営者にしてみれば、努力に見合った売り上げや利益が上がることが前提であり、そのためには、生産性を維持したまま、資材や人手などの投入量を減らすことが目的であり、なおかつ、生産物の価値がたかまることが重要になります。個々の農業者がそのような努力を積み重ねた結果、環境にも貢献するという見方が必要でしょう。

有機農業の面積を増やすことは結果であって、それで脱炭素が実現するとは思えないのですが。

地域経済再生のカギは、地域資源のブランディングとマーケティングにあり。

新型コロナウィルスによる感染症拡大による緊急事態宣言などで行動変容が求められるようになって1年以上が経過しました。ワクチンの接種も進んでいないようで、経済が元のように回復するのには、まだ相当の時間がかかりそうです。いや、元に戻ることなどはなくて、新たなパラダイムでの社会になるのかもしれません。

昨年に引き続き、今年のゴールデンウィークも全国的に外出自粛が求められています。
ここ札幌でも、連休中に感染が急拡大したので、明日からは飲食店の更なる時短営業や、屋外の広告照明を消灯するなどの対策が講じられるようです。まだ、しばらくは活動を抑制しなければならないようです。

この1年間で、自宅で静かに過ごすことに慣れてきたとはいえ、人間は本来、活動的で社会的ないきものです。
多くの人たちが、活動の制限を強いられて、そろそろ我慢の限界に達していることを感じられるようになりました。
僕は比較的、密を避けて楽しむことのできるトレッキングやゴルフなどによく行くようになりましたが、人によっては感染リスクの高いとされる場所に行く機会は増えているのだと思います。

在宅勤務などが奨励されるようになって、首都圏から郊外に人が動いている。なんて話もちらほら聞こえます。でも、これは首都からせいぜい100km以内、地方都市だと数十km程度の話で、大きな都市から遠く離れた農村地域には人は来なくなるでしょう。これまで大勢の外国人観光客、いわゆるインバウンドがあった時には人の流れを作ろうと、地域おこしに力を入れてきたことでしょう。しかし、人流が制限されるようになり、観光地にも人が行かなくなった今、地方における地域経済の活性化を模索している関係者は多いと思います。

冒頭でパラダイムシフトが起きていると書きましたが、おそらくは、これまでと同じことをやっていては成果は望めないでしょう。地域活性化のリーダーシップを取るのは、たいてい自治体や商工会だと思います。これらの組織で、新しい取り組みがどんどんできるならば良いのですが・・・

地域経済の活性化の方法として、誰もが知る方法として、ふるさと納税があります。地域の農協や漁協、企業などが生産する産品を返礼品として寄付金を得る制度です。寄付する方には所得税や住民税などの控除が受けられる制度です。ぼくも年末になると各地の産品を探して寄付をし、返礼品が届くのを楽しみにしています。

このふるさと納税によって、地域の隠れた名産品を知ってもらうことができます。また、同じような自治体がどのような産品を返礼品として提供しているのかを知ることもできます。北海道ならば、たらこやすじこなどが人気の産品ですが、これを提供している自治体はたくさんあります。他の産地と比較して何が優位なのかをアピール、つまり差別化することは、マーケティングのひとつの手法ではないでしょうか?

また、地域に不遜する資源をしっかりと産品化することも重要です。産品化と行っても一次農産物だけではなく、その加工品でも良いし、お祭りなどの歴史的な文化やパワースポットなどでも良いと思います。近くに住む人は、あまりその価値に気づいていないことが多いのです。

地域資源から産品を作り出し、市場からどう見られるか、他の産品との違いを知ってもらう取り組みがブランディングです。また、そのブランドを広く知ってもらう取り組みがマーケティングになります。それらを戦略的に実施することが求められています。

感謝・会社設立18周年

株式会社リープスは4月22日で創業18周年を迎えました。
これまで、当社の事業を支えてくださったスタッフ、クライアント、公私にわたり、私や会社に起こるさまざまな相談に乗っていただいた友人たちに心より感謝申し上げます。

今、思うのは、この18年という年月があまりにも短かったということです。(毎年、言ってる。)
人生は短いとはよく言われることですが、その瞬間、瞬間を丁寧に生きていかないと時間はあっという間に流れ去っていきます。短く感じているのは充実しているからだといいように考えています。

かつて、といっても20〜30年前まではサラリーマンの定年は55歳でした。
この4月1日からは、法律に定められている定年は65歳になり、企業には70歳までの雇用の努力義務が課されるようになりました。この20年ぐらいで、働かなければならない期間(雇われて働くことができる期間?)が実に15年も増えたのです。もちろん、この背景には平均寿命も伸びもあります。1960年ごろの平均寿命はは男性は65歳、女性は70歳ぐらいでした。ところが、今は男女ともに80歳を超えています。まさに人生100年時代となっています。これは、人生という長い長いマラソンを走っているうちに、ゴールがどんどん先に伸びている状態です。どこかでペース配分を見直さないとゴールに辿り着くことが難しい時代になってしました。

私が大学を出て社会に出た30数年前、ちょうどバブルが崩壊した頃に入社した世代の親の世代は生涯、ひとつの会社で定年まで勤め上げるというのが当たり前でした。だから、より大きな、安定した会社や公務員になることを目指すのが最も人生で苦労しないと信じられていました。

ところが、最近では生涯勤め上げるどころか、自分の就業年数より企業の存続年数の方が短い場合などもあり、生涯で何度か転職しなければならないことが当たり前にになりつつあります。ひと昔前とは情報量が格段に増加し、若い国民が多い新興国が高い生産性で経済発展をすることで、日本のような高年齢国家は国際社会におけるポジション取りや機動力が急速に低下しているのです。ちなみに今の日本人の平均年齢は48歳ぐらいだと思います。

人生という長いマラソンでゴールがどんどん先延ばしされている中で、個人のペース配分とは、走っている途中でシューズを履き替えることで、それは転職とか独立とかになります。最初に与えらたシューズでは最後まで走り切ることはできない時代なのです。これまでは、スタート地点のコンディション、つまり学歴や就職先が良ければ最後まで走り切れたけれど、これからは途中、途中でそのコンディションが評価されることになります。40歳、50歳、60歳と良い状態をキープしていかなければらなないでしょう。

会社経営も同じで、これまでの価値観に頼った経営をしている会社は時代遅れとなり、倒産したり新興企業に買収されたりしていますね。家電や小売、マスコミ、金融なんかがそうです。今は、組織が古く巨大になるほど意思決定が遅くなり、状態が悪化しやすいと思います。かつて、みんなが就職に憧れていた企業や公務員組織ですね。

これからは、小ぶりな会社が、それぞれの役割を自覚し、社会的にも認知された上で、同じような規模の他の会社とフォーメーションを組んで製品やサービスを展開する時代にきっとなるでしょう。社会の状況や価値観の変化に応じて自在に形を変え、さまざまなサービスを新たに生み出していくのです。

当社も設立時と比較すると、事業内容がずいぶん変わっています。
経営する私自身のスキルや経験が変化しているのだから当然のことですが、今はコロナ禍にあって、社会に求められていることを見極め、適切な提案をすることが重要かと思っています。

今後ともよろしくお願い申し上げます。