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コンサルタントのブログ

ブランディングの重要性について

当社では創業後まもなく農業(農産品、生産者、地域、生産方法)などのブランド化にかかるコンサルティング事業を行っています。2015年からはGIサポートデスクで農林水産品の地理的表示(GI)法への登録にかかる北海道地域のアドバイザーをしていますので、ブランディングに関して考え、アドバイスする機会が多くあります。

私は農業コンサルタントとして起業し、生産者や農協などの「作り手」の方々と一緒に仕事をしてきましたが、最終的には「市場にどう評価されるか」ということを明確にイメージするようクライアントと価値観を共有しています。

この「市場にどう評価されるか」に関する一連の作業や活動こそが「ブランディング」になります。作業や活動がブランドの持つ価値を高めていくんですね。

特に農協などが農産物を流通させる時には、さまざまな利害関係者(ステークホルダー)の存在が明らかになります。生産者個人、生産者組合、農協、地域の飲食店、自治体、地域住民、市場、仲卸業者、加工業者、小売業者、飲食店、消費者など、その活動の影響は非常に広い分野に及びます。

農協など地域を丸抱えしているような組織は利害関係者が増えるのは理解できますが、生産者個人が農場の名称で農産物をブランド化して消費者に直販しようと考えた場合はどうでしょうか。
サプライチェーンの関係者だけがステークホルダーかというと、そうではありません。生産者が所属する地域や農協、他の生産者にも大きな影響を及ぼす場合があります。結局、ブランディングは活動を頑張れば、頑張るほど多くの人に関与するんです。特に農業の場合は、地域との結びつきが強いので、”地元”との良好な関係性を保つことがとても大切です。

ステークホルダーとの良好な関係を築く作業や活動を誤ると、ブランド価値の向上ではなく、価値の毀損になりかねません。ブランディング活動というのは危機管理的にも重要なんです。

積極的なブランディング活動の結果、市場にいる多くの人たちがその品質や特性などが評価され、「価値」が高まってくると、今度は、この「価値」をどこに格納するのかが課題となります。

最も最近では、あらかじめ名称やマークなどを定めて、そこに価値を集約することも当然のようにやられていますが、農業の場合、昔からの地道な取り組みの蓄積によって価値が高まってくることがあるので、後から、ブランドを格納する名称なりマークなりを作らなければならなくなります。

このとき、問題になることとして、その価値は一体誰のものか?ということです。蓄積した価値に貢献したのは、生産者たちなのか、農協なのか。その場合、生産者ということでまとめることはできますが、地域に存在しない流通業者だったりすると、その価値が高ければ高いほどもめる原因になります。

そうならないように、ブランドを管理する責任者が戦略的にブランド活動を行う必要があるんですね。

ところで、ブランドの「活動」をせず、名称やマークを作って喜んでいる人もいますが、これはブランディングとは言えません。ぜひ、戦略的に「市場に評価される」活動をしていただきたいと思います。

ドウダンツツジ

我が家の玄関前に植えてあるドウダンツツジが満開になった。
去年はアブラムシがたくさんついて、花もほとんど咲かなかった。
このドウダンツツジが散ったら美しい札幌の初夏がくる。
そして、葉っぱが真っ赤に色づいたとき、札幌は冬を迎える。
冬を迎えるときには、新しい平穏が訪れていますように。

種苗法改正について

新型コロナウィルスによる外出自粛等が続くなか、少し前に種苗法改正についての議論がSNS等を中心に盛り上がっています。この種苗法という法律の詳細については、解説しているWebサイトがたくさんあるので、それらをご覧ください。

農作物は食料だけでなく食品加工原料、燃料、飼料、工芸品の材料など、多様な目的のために生産されています。そしてそれらの目的に合致するよう長い年月をかけて品種改良されています。品種改良は優秀な形質を有する個体の選抜や、それら交雑によって少しづつ改良されたものです。使用する目的に合致する改良もあれば、病気に強く、効率的に作りやすいようにする改良もあります。

在来種と言われているものにしても、人が利用する際により良い形質を選抜しているので、長い年月をかけて育種されてきたと言えるので、野生の、と言うか、本来の形質ではなくなっていると思われます。

職業として新たな品種を作り出す人のことを育種家と言います。何百種類の品種を手元におき、それらを交雑で組み合わせて優良が品種を選抜しています。意図的に受粉させて種をつくらせ、それらをまた植えて特性をチェックします。そのような作業を繰り返し目的の形質を有する品種ができたら、今度は配布するために種を増やします。数ヶ月で種を増やせるものもあれば、数年単位かかるものもあります。育種家はこのように膨大な時間と労力をかけてひとつの品種を作り上げていくのです。

ちなみに近年では、これらの時間と労力を削減するために、遺伝子組み換え技術やクローン技術といったバイオテクノロジーが使われる場合があります。遺伝子組換え作物については日本では作付けに厳しい制限があります。

種子が取れる作物の場合、育種家は雄性不稔と言う花粉を作らない操作をして、採種できないようにしています。育種家は投資を回収するために、農家に毎年、種を買ってもらわなければならないので、当然のことです。

今、作物として作られている植物には、それを育種した人がいます。育種家はそれぞれ専門性を持っています。特にグローバルに栽培されているタマネギのような野菜はそのマーケットが世界になります。日本の育種家が作出した野菜を世界中で栽培される夢もあります。

逆に育種に膨大な予算をかけて、優秀な育種家を雇用し世界中に販売するグローバル企業もあるでしょう。農家がどんな種を使うかはマーケットを見て農家が選択することです。マーケットは地域であっても種苗はビジネスであり市場はグローバルなのです。

僕は食卓を囲む消費者にとっても、それを栽培する農家にとっても良い品種を日本で作り出して欲しいと思います。そして、育種家をしっかりと保護して、国際的に競争力がある品種としてグローバル市場に挑戦してもらいたいと思います。

止まっていた時間が動き出す。

昨日(6月1日)に北海道でも非常事態宣言が解除されました。事務所のある札幌市内中心部でも人の出が明らかに多くなりました。長く止まっていた時間がようやくゆっくりと動き出したという感じです。

折しも、札幌はライラックの花が満開の1年で最も美しく過ごしやすい時期です。今年はお祭りもイベントもないけれど、ずっと家に閉じこもっていた人が外に誘い出すには充分な気候です。

緊急事態宣言に合わせて当社も時差通勤や在宅勤務などを取り入れましたが、クライアントも在宅勤務や外部関係者との接触禁止、出張禁止などの措置を取っているところが多く、この2ヶ月間はほとんど仕事も動きませんでした。

僕の仕事はほとんど動きませんでしたが、世の中の現場の多くは変わらず動いているはずです。特に農業は止めることはできません。毎年、変わらず畑を起こし、種をまいたはずです。報道では都心部の人の動きばかり追っていますが、食料生産の営みを継続することは、都会で働く人にも大きな影響を与えることを改めて認識しなければなりません。

しかし、一次産業でも今回のコロナ禍で大きな影響を受けているところはあります。外食が長期間にわたりクローズしたことで、業務用の食材の流通は大きく減少しています。特に高級食材と言われる和牛や高級な寿司ねたの生産、一般の家庭ではあまり使われないベビーリーフなどは、レストランやホテル宴会場がクローズしたことで出荷先がほとんどなくなりました。ビジネスマンが領収書をもらって飲食するようなお店が特に影響を受けたと思われます。

この傾向は、今後、コロナ禍が去った後もしばらくは続くと思います。接待も出張も会議も少なくなるでしょう。新しいビジネス習慣が生まれるのだと思います。

コロナ禍で止まった時間の中でも、より多くの情報に接し、今後の世の中の動きについて仮説をたて、それに合わせた事業をゼロベースで作り上げることが求められると思います。

ゼロベースになるということは、今までの慣習や常識を止めるということも含まれます。止めるにやめれたなかったことってたくさんあると思います。それに向き合う良い機会とも言えるのではないでしょうか?

在宅勤務

昨日から在宅勤務をはじめました。

私が住む札幌でも新型コロナウィルスの感染者が確認され、ついに4月12日に北海道と共同で緊急宣言が出されました。2月28日にも北海道独自の緊急事態宣言を出しているので、2回目の緊急事態宣言になります。

私は大学卒業後に13年間、サラリーマンを経験しました。ある日、自分がサラリーマンに向かないことを自覚し会社を辞めました。1年間ほど無職として暮らし、その後、会社をつくって起業しました。

起業した当初は事務所を借りる余裕もなく、何年も自宅で仕事をしていました。だから、在宅勤務ははじめてではありません。そもそも事務所を持たない人が在宅勤務と言って良いのかはわかりませんが。

当時、娘はまだ赤ちゃんでした。共働きだったので保育園に子供を預けましたが、自宅で幼い子供の面倒をみながら自宅で仕事をするって、ほぼ不可能に近いことだと思います。

 自宅にいれば、掃除や洗濯、DIYや料理など、プライベートなことで気になることがたくさんあります。すぐに仕事から逃避できる環境にあるんです。ましてや、誰にも見られなければ、やりたい放題です。
 他方、仕事に集中すれば、昼も夜もなく、いつまでも働きつづけることができます。顔も洗わず、着替えもせず、風呂に入らず、寝ずに。

 何を言いたいかというと、在宅勤務を時間で管理するのはほぼ不可能ではないかということです。成果、出来高で評価されるべきであり、そのためにはあらかじめ成果(ゴールイメージ)と期限、進捗報告、評価方法、評価者を決めておく必要があります。

 労働者の管理は、法的にも時間で管理するのが前提になっています。成果がでなくても時間を使用者に捧げれば、時間あたりの報酬が支払われる仕組みになっています。工場でラインに張り付いている作業員や警備員など、「そこにいること」が前提になっている人はそれで良いと思いますが、いま、在宅勤務をしている人のほとんどは、「常にそこにいなくても良い人」です。だから、在宅勤務をすることができているわけです。

 管理者も、タイムカードによって労働者を時間で管理することが当然と思っています。だから、在宅勤務であってもパソコンを立ち上げた時間や離席した時間、業務終了を管理したがるわけです。
 成果を求めているわけではないので、労働者はいかに上手にサボろうかと思うのです。これではいつまでも生産性はあがりませんね。

 在宅勤務が常態化すれば、ブラック企業はなくなるのでしょうか?これまでブラック企業というのは長時間労働、あるいはサービス残業など時間に対する対価の不払いというものでした。もし、労働者に高い処理能力があり、さらに処理力を高めるようなICTを活用した道具や環境があれば、成果を出すのに必要な時間は短縮されるでしょう。

 あらかじめ、経営者や業務管理者(この場合は労働者の時間を管理する人ではなく仕事の成果に対して責任を持つ人)と労働者の間で、仕事の成果や要する時間等をしっかりと話し合うべきです。労働者に高い能力があれば高く評価され、報酬はより高まるでしょう。

・・・と、ここまでは現場を持たず、在宅勤務が可能な人、都会の立派なビルに勤務しているオフィスワーカーとかホワイトカラーと言われている人の話です。

工場で勤務している人、農業や漁業などの一次産業、土木建築など「現場」に対して責任のある仕事をしている人は在宅勤務はできません。また、営業の自粛などを強いられている飲食業や観光業、販売業、イベント、エンターテイメント業界などの「人」と仕事をしている人、「現場」や「人」と仕事をしている人を相手にご商売をされている会社(おもに中小企業)の人たちは、在宅勤務なんてできるわけがありません。

こんな状況にあっても、季節はめぐり春がやってきました。

今日も畑では種をまき、苗を植えています。牧場ではいつもと変わらず搾乳や家畜への餌やりが行われています。普段どおりに朝はやくから海に船をだす人もいるでしょう。かれらのいつもと変わらない仕事が私たちの食、いのちを支えているということを改めて考えなければなりません。そして、食の生産現場を守る責任が私たちにはあるのです。