Reclaim the Earth!

コンサルタントのブログ

そろそろ新しいことを始めましょう

北海道の緊急事態宣言も今日で終わりのはずでしたが、明日からマンボウに移行するとのことで、自粛生活は続きます。とはいえ、飲食店でのお酒の提供中止の要請が少し緩和され、一定の条件を満たしていれば19時まではお酒の提供が可能とのこと。しばらく、生ビールをジョッキで飲んでいなかったので、仕事帰りにつめたいビールをグッと飲み干したいものです。

自治体や農協、企業(特に大企業)などは、テレワークなどを推進しており、「不要不急」の業務が留め置かれているようです。組織外のスタッフとの連携が必要な業務や新しく着手しようとしていた業務などは、「今じゃ無くても良い」ということで、実施されず、そのうち世の中の状況まで変わってしまい、結局、実施することも再検討になっているのではないでしょうか?

当社のような新規事業やマーケティングをお手伝いするような会社は、当然ながら仕事が激減しています。私もこの状況を打破しようと、あえて新しい取り組みを始めようとしたり、これまでの業務を粛々と実施し続けようかと思いましたが、結局は実施せず、じっと機を待っている状況にあります。待っているだけでも消耗するんですけどね。

もう少し若かったら、コロナ禍で新たなサービスを企画して、ローンチしたかもしれません。そのような勢いは大事だなと思いつつも、コロナの前後でモノの価値観が大幅に変革するし、当社のような特殊で小さな企業にも求められることが変わってくるんだろうなと思い、じっと状況を見極めようと考えているところです。

コンサルティングという仕事は、相手の課題を解決する仕事です。課題の捉え方や、そもそも課題として顕在化しているかどうかも、周りの状況によって大きく変わります。コロナ禍で価値観が大きく変わったことで、これまでの問題解決に向けた方針が大きく変わることも予想されます。

ワクチン接種も拡大してきて、年内には経済もある程度動き出しそうな見通しが立ってきました。組織もそろそろ長いトンネルを抜けて新しい一歩を踏み出すためのフェーズに入っていると思います。新しいことを始めるには、とても良いチャンスです。

高齢者を雇用している法人向けにスマートスーツの導入に補助が出ます。

当社の関連会社にロボット技術を用いたアシストスーツを開発する北海道大学ベンチャーの株式会社スマートサポートがあります。ここが軽労化の概念に基づいて開発すがアシストスーツ、「スマートスーツ」は中腰姿勢をとった際に、上半身を引き上げる効果とお腹周りを締める効果を得ることができます。

スマートスーツは、すでに多くの業種、業態に導入されていますが、昨年度、厚生労働省が実施した高年齢労働者安全衛生対策事業で、その機能や効果が第三者機関によって実証されました。これにより、本年度のエイジフレンドリー補助金の助成対象となっています。

農作業の労働力は高齢者に頼っているところが大きく、加齢による体力低下で高齢者に多い腰痛や転倒による怪我などで労災になるケースも多いようです。ぜひ、この機会に導入をご検討ください。


本日(6月11日)より、令和3年度エイジフレンドリー補助金の公募が始まりました。(10月末まで)
公募要領等の詳細は下記でご確認ください。

→ 厚生労働省Webページ
→ 一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会 エイジフレンドリー補助金事務センター

令和2年に創設されたエイジフレンドリー補助金は、⾼齢者が安⼼して安全に働くことができるよう、中小企業事業者による職場環境の改善等の安全衛生対策の実施に対し補助を行うものです。

高年齢労働者(60歳以上)を常時1名以上を雇用する労働保険に加入している中小企業者が対象となります。

働く高齢者を対象として職場環境を改善するために次の対策に要した費用が補助対象となり、補助率は1/2、上限額は100万円までとなります。

※ただし、事業場の規模や高年齢労働者の雇用状況等を審査されたうえでの交付決定となります。

  • 身体機能の低下を補う設備・装置の導入
  • 働く高齢者の健康や体力の状況の把握等
  • 高年齢労働者の特性に配慮した安全衛生教育
  • その他、働く高齢者のための職場環境の改善対策

スマートスーツは、令和2年度「高年齢労働者安全衛生対策実証等事業」に採択され、第三者機関によってその機能や効果が実証されていますので、エイジフレンドリー事業の対象として認められています。

スマートスーツは、現在のお使いのユニフォーム(パンツ、オーバーオール)に機能を組み込むことも可能です。
この機会に、スマートスーツの導入をご検討ください。

→ エイジフレンドリー補助金によるスマートスーツの導入についてのご相談もお気軽にどうぞ

脱炭素!

6月に入って、あっという間に1週間が経ちました。

5月の末から我が家のドウダンツツジが満開になりました。1週間くらいで花は落ちてしまうのですが、この花が咲いた頃から札幌は1年で一番良い気候になります。あいにく去年も今年も緊急事態宣言で、美しい札幌の初夏を楽しむことができません。

新型コロナウィルスのパンデミックで人々の暮らしは一変しました。
ワクチン接種が広がり、行動の制限が徐々に解除されたとしても、もう、元のような暮らしには戻らないでしょう。

20世紀型の経済成長システムであった、大量生産、大量消費から、持続可能な開発目標、すなわちSDG’s 型の経済発展に急速に転換することでしょう。農業政策についても、先日の「みどりの食料システム戦略」は、見方を変えれば、それを先取りした形になっています。

ヨーロッパや日本など高齢化が進み、人口減少が始まっている地域では、持続可能な農業を推進する動きが加速する反面、大規模に大量生産をしている国々や途上国など食料を必要としている国々との格差が顕著になると思います。
まだまだ経済発展を量的に期待する国々と、成熟した経済で質的な向上を期待する国に分かれると思います。
政府が目指す有機農業は質的な発展であり、これを理解する国民がどれだけいるか、すなわちマーケティングができるかどうかが課題となると思います。

いずれにしても、日本はSDG’s的な発展を目指さざるを得ない状況になったことを早く理解しなければならないと考えます。

有機農業と慣行農業

農水省が発表した「みどりの食料システム戦略」では、有機農業の取り組み面積を100万ha(農地の25%)に増やす目標を掲げています。同時に化学肥料の使用量の30%削減と化学農薬の使用量の50%削減するとしています。

有機農業については、平成18年に制定された「有機農業推進法」の第2条に下記のように定義されています。

化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこ と並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷 をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業をいう。

平成30年時点での有機農業の取り組み面積は23.7千haで耕地面積全体の0.5%に過ぎません、これを2050年までに100万haにするというたいへん大きな目標になっています。そのために、現在の化学肥料、農薬の代替技術を開発するとしています。

有機農業の定義に当てはまらない農業は「慣行農業」と言われています。平成30年時点で、慣行農業の耕地面積は99.5%を占めています。有機農業は平成21年時点で0.4%です。10年間で0.1%しか増えていません。

なぜ、有機農業が普及しないのか?
理由は多くあると思いますが、ざっくりと言えば、現状の技術では、手がかかるわりに生産量が低く、生産したものも高く売れない。ということだと思います。2050年までに耕地面積の50%をクリアするためには、少ない労働力で生産可能で農業経営的に再生産可能な価格で売れる。ことに尽きます。

近代農業は農地の生産性を高めることを目的に発展してきました。生産にかかる労力や肥料や農薬等の資材といったインプットをできるだけ少なくして、アウトプットとして大量に収穫する技術がベースになっています。大量に安定して生産することによって食料の価格が安定しました。

農産物をできるだけ多く生産するためには、作物栄養が良好でなければなりません。作物は窒素やリン酸、カリウム、その他のミネラルなど無機の状態で植物体内に取り込みます。効率的に栄養を吸収するためには、すぐに利用できる無機体の栄養素が根の周辺になければなりません。そのために開発されたのが化学肥料です。

化学肥料を施用せずに、化学肥料と同等の生産性を維持するためには、堆肥などの栄養素を含む有機物を大量に施用しなければなりません。化学肥料の場合、窒素、リン酸、カリなどの主要成分を数%から数十%含みますが、堆肥の場合は、ものにもよりますが、せいぜい5%程度で50%以上の水分を含んでいます。同じ肥料効果を得るためには何十倍もの重量、容量の堆肥を散布しなければなりません。しかも、肥料成分は有機物の構成要素となっているため、一度、微生物によって有機物が分解されて無機の状態にならなければ取り込まれることがありません。微生物の活動は地温や水分量などに影響を受けるため、施用してから作物に吸収されるまでに時間がかかります。

さらに、堆肥は一般的には畜産農家で生産されます。堆肥を必要とする耕種農家との距離が離れていれば、運搬にもお金と時間がかかります。結果的に、作物栄養的な観点で見れば化学肥料よりもずっと高いコストが必要になります。

化学農薬については、除草剤がなければ全て人力でやらなければならず、多くの労働者を必要とします。高齢化と人口減少が著しい農村地帯で除草のための人員を確保することは容易ではありません。また、確保できたとしても人件費が農薬散布費用に見合わなければなりません。除草しなければ良いじゃないかとなりますが、雑草が繁茂すれば作物のための肥料は雑草に食われ、光合成効率も低下します。収穫の際の手間も大きく増えるでしょう。
農薬による防除はどうでしょうか?
一般的に効率的な農業をしようとすると、単一作物で構成されます。農地の生物多様性は少なく、病気が出たり、害虫が発生した場合、一気に広がってしまいます。これを予防するためには、種の異なる、さまざまな作物を混合して栽培して多様性を高めるなどの対応が必要ですが、農業機械によって一気に管理することができなくなります。当然、多くの労働力を必要とする割には生産性が低くなるため、コストが高くなってしまいます。

肥料や農薬という資材と、労働力というインプットをどのように改善するかが、有機農業50%を実現するためには欠かせません。また、それ以上に、有機農産物を高く販売できるというマーケティングの思想が欠かせません。

有機農業推進法で定義される、化学肥料、化学農薬ゼロ以外は、全て「慣行農業」とされてしまいますが、慣行農業から有機農業に移行するのは、農業者だけの努力だけではどうすることもできません。そもそも、「生産性を重視した効率的な農業」から、「環境負荷を低減した持続可能な農業」への転換というパラダイムシフトは、同じ経営のラインにはなく、全く別の経営方法と言えるでしょう。

これを実現するためには、労働力を大幅に削減するロボット技術、軽労化技術の開発と農業労働力の確保、堆肥の生産、流通、施用のシステム化、生物農薬など化学農薬に代わる画期的な防除技術の開発を欠かすことはできません。農水省ではこれらを2040年までに確立するとしています。

同時に消費者の農業や食料に対する理解を深めること、民間レベルでの食農教育が最も重要かもしれません。

農水省、みどりの食料システム戦略を正式決定!

少し前のニュース(5月12日)になりますが、農水省が「みどりの食料システム戦略」を決定しました。資料をざっくりと読んで今後の農業政策に対して現場がどのように対応すべきか考えてみます。

ニュースサイトにもまとめられているように、ざっくり言えば、肥料や農薬の使用料を減らし、農機の電化などを通じて炭酸ガスの排出量を積極的に抑制、農地に炭素吸着することで農業の環境負荷を減らすとともに、スマート農業によって生産基盤強化を図りましょう。というものです。具体的なアクション・プランについても発表になっています。具体的な目標が示されているものについては以下の通り、畜産関係については、今後行うべき取り組みとしての方向性が示されるにとどまっています。また、これらの具体的目標を達成するために、「持続的な地域の産業基盤の構築」や「消費者の理解・行動変容」が挙げれれています。

地球温暖化対策(ゼロエミッション化)
・園芸施設について2050年までに化石燃料を使用しない施設への完全移行
・新規販売される農業機械について2040年までに化石燃料を使用しない方式に転換
・園芸分野において2035年までに廃プラスチックのリサイクル率を100%に引き上げ
・2030年までに、農地、草地におけるCO2吸収量を倍増

化学農薬の低減
・化学農薬のみに依存しない総合的な病害虫管理体系の確立・普及を図る。
・2040年までに新規農薬等の開発し、2050年までに化学農薬使用量50%低減を目指す。

化学肥料の低減
・2050年までに、化学肥料を使用量を30%低減

有機農業の取り組み拡大
・2050年までにオーガニック市場を拡大し、有機農業の取り組み面積の割合を25%(100万ha)に拡大
・2040年までに次世代有機農業技術を確立

農林水産省 みどりの食料システム戦略参考資料より

いずれも、持続可能性を優先するものであり、国連のSDG’sに準拠したものとなっています。
これまでも、個別に取り組みが実施されたものが、持続可能性に向けて集約されて整理されたとの印象です。

確かに、化学農薬や化学肥料の低減した先には、結果として有機(的)農業があるのですが、現在の有機農業(有機JAS認証を取得していないが有機農業が行われている農地を含む)は、0.5%(23.7千ha)です。これを30年間の間に50倍にしようとする計画です。欧州からの Farm to Fork を倣い、追随する構造になっています。果たして、有機農業の面積を増やすという結果の実現で、最大の目的である脱炭素が実現できるのかについては疑問が残ります。

有機農業を実践するためには、堆肥の製造や運搬、散布、除草、防除などで、慣行農業以上に人手とコストがかかります。生産性は低下し、マーケットでも受け入れられないならば有機農業の面積は増えません。目的と手段の間に合理的な説明が必要になると思います。

草地や畑地にはCO2を貯蔵することはできますが、土壌の種類によって吸着可能な炭素量は大きく異なります。また、耕起することで酸素に触れることで有機物の分解は進みます。積極的に堆肥をやることで土壌中の炭素貯蔵量は増えると思いますが、そこに期待するよりも、堆肥を入れることで土壌の物理性や化学性が改善されることに着目すると、生産性も維持することができるでしょう。

農業経営者にしてみれば、努力に見合った売り上げや利益が上がることが前提であり、そのためには、生産性を維持したまま、資材や人手などの投入量を減らすことが目的であり、なおかつ、生産物の価値がたかまることが重要になります。個々の農業者がそのような努力を積み重ねた結果、環境にも貢献するという見方が必要でしょう。

有機農業の面積を増やすことは結果であって、それで脱炭素が実現するとは思えないのですが。