GAPとは、適正農業規範(Good Agricultural Practices)のこと。食品の安全性、環境や労働への配慮などを強く意識した生産管理がされているかを評価したものであり、調達基準としてイギリスのスーパーが導入したものらしいです。
農水省もGAPの取得を奨励していますが、GAPもグローバルなものと日本独自なもの、地域のものなどがあります。また、厚労省は食品工場などにはHACCPなどを奨励していて、生産者としては何をどうしたものなのか戸惑うケースも多くあると思います。
日本の食品管理は世界でもトップレベルで、名前の通ったスーパーなどで買い物をする場合には、基本的に食の安全は完全に担保されていると消費者は信じきっています。ぼくは旅行をすると必ずスーパーマーケットに行きます。売られているものの観察をするのもありますが、パッキングや陳列状態などをチェックします。
日本の一般的なスーパーは、海外では高級スーパーと言われていることが多いようです。海外でも地方の地場のスーパーや市場などでは衛生管理が心配なことが多々あります。だから、消費者は売られている食品につい若干の不信感を持っていると思われ、スーパーも調達基準を示す必要があると考えているのだろうと思います。推測ですけど。
日本のスーパーやスーパーに食品をおろす仲卸業者には産地から産品を買い取る目利きのバイヤーがいます。産地に出かけ、品質はもちろん、生産環境は生産者の人柄などのチェックしています。生産者から農産物を集める農協なども、しっかりとした選果施設を持ち、時に過剰ではないかと思われるほど厳しい規格で生産管理をしています。
食の安全性はサプライチェーンで相互に監視しつつ、完全な信頼関係のもとに運営されていて、スーパーのブランドや産地の評判などを毀損しないよう最新の注意がなされています。だから消費者がスーパーで安心して商品を購入することができるのです。一方で消費者は食品の目利きができなくなったとも言えます。
GAPにしてもHACCPにしても、日本は認証を取り入れるのが大好きです。この管轄があっちこっちに散らばっているので、全部の認証を取ろうとすると、経済的労働力的なコストが膨張し、結局、肝心の生産に時間をかけれないなんて本末転倒なことが起きてしまいます。
しかしながら、産地でも生産管理をルール化し、しっかりと記帳管理することは重要で、経営効率のアップにも繋がります。特に今後、肥料や飼料、資材などが値上がりする中で、しっかりと原価管理をした経営をしなければならないのは言うまでもありません。
認証を取得することは目的ではないし、幸い、今の日本は認証がないからといって取引ができないとか、認証していたから高く取引できたといったことはあまりありません。既存の認証フォーマットを活用しながら、独自の管理方法を構築し、効率的な経営をしたいものです。
あまり意識されていませんが、農業の場合、土壌分析や肥料の調達管理などをしっかりすべきかと思います。これが生産コストにも産品の性質にも大きく影響すると思うからです。