2020年の農産物・食品の輸出額はコロナ禍にあっても0.1%増の9,223億円だったというニュース。政府は農産物の輸出を2025年に2兆円、2030年に5兆円に増やす目標を掲げています。
国内の人口減少と高齢化による消費量減少を補うには、来日する外国人に食べてもらうか、輸出して海外の人に食べてもらうしかありません。しかし、食品は冷凍や冷蔵などによる鮮度の保持や賞味期限があり、生ものなどは相手国からの許可や煩雑な輸出の手続きが必要で工業製品のように簡単には輸出できません。
航空輸送を使うことも多く、運賃もかさんでしまいます。現地で販売する価格にはそれらの費用が乗せられるため、高くても買ってもらえる「何か」が求められることになります。それか、圧倒的に安いか。
一般的にどこでも作れるものならば、わざわざ日本から輸入して消費する必要もありません。日本から輸入しなければならない理由づくりが必要です。
それは、日本でしか生産されていないもの。日本でしか生産できないもの。どこでもつくれるけれど品質に圧倒的な差別化がされているもの。あとは、協力なブランド力があること。です。
また、輸入国からしてみれば、いままで無くてもなんとかなっていたものであり、いわゆる ”不要不急” なものが輸入品です。購入(輸入)意欲をかきたてるような周辺情報として、文化やストーリーなども必要でしょう。食べ方(レシピ)や、生産の方法などがこれにあたります。
政府の輸出5兆円計画で、各産地がこぞって輸出をはじめています。背景には政策目標を実現するための補助金などもあります。その結果、輸入する国で日本産品同士の競合が起きているといいます。
また、補助金はテストマーケティングだけで、継続的な商取引につながりにくいということもあるようです。持っていけば終わりというのではなく、サプライチェーンやバリューチェーンをしっかりと構築するべく、じっくりと取り組むことが必要ではないでしょうか?