Reclaim the Earth!

地域戦略の見直し

年明け早々、緊急事態宣言が出され、首都圏ではどうやらさらに1ヶ月間、延長されそうです。先行きの見えない状況でネガティブな感情を持っている人は多いと思います。受験生とか就活生とか。仕事帰りに飲みに行って憂さ晴らしもできないサラリーマンの皆さんも。日本国民というか世界中の人たちがコロナ禍でストレスを溜めていると思います。今にそれも限界になるのではないかと危惧しているもののひとりです。

さて、タイトルにある農村に限らず、地方はインバウンド、国内外からの観光客を頼りに地域活性化の戦略を立てていたところが多いと思います。札幌の私の事務所からほど近い狸小路という商店街はアジア系、特に中国からの観光客が非常に多く、お土産屋やドラッグストアなどが軒を連ね、いつも夜遅くまで多くの外国人がいましたが、この1年は閑散としています。本来なら札幌は雪まつりのシーズンで多くの観光客が見込めたのに。

地方は特に観光客を呼び込もうとあの手この手の戦略を立てていました。観光バスの誘致や体験型アクティビティ、ホテルなどの宿泊施設の整備やご当地グルメの開発などに精を出してきたと思いますが、もうあの観光客は戻ってきません。海外からの観光客だけでなく、国内からの観光客もしばらくは戻ってくることはないでしょう。

観光立国を目指した政府はオリンピックイヤーとなるはずだった昨年の訪日外国人目標を4,000万人としていましたが、コロナ禍でその約1/10の412万人に留まりました。しかし、2030年のインバウンド目標を変更せず6,000万人としています。

菅首相が設置した有識者会議である成長戦略会議のメンバーであるデービッド・アトキンソン氏の著書でうる新・観光立国論では高齢化が進んでいる欧州の先進国では積極的に外国人観光客を受け入れることで経済成長していると述べていて、日本もそれに倣う政策を掲げたわけですが、1年前に海外から持ち込まれた新型コロナウィルスの影響で世界中で人の移動が制限されたのです。日本でもインバウンド増加政策の追風で急成長していた観光業や飲食業が大きな打撃を受けています。

地方でもインバウンドの流れを我が町に誘導するような政策としていました。しかし、もはや、早晩、インバウンドが回復するとは思えず、地方は高齢化と住民の流出で自治体すら維持できない状況になるでしょう。そうなると住民サービスは低下し、ただの暮らしにくい田舎になってしまいます。都会との人の交流も希薄化して、活性化のためのインスピレーションも湧かなくなるでしょう。

農林水産業はそういう田舎にあるわけで、当然、リモートワークなどできるわけもなく、そこに暮らして生産を続けていかなければならないのですが、上下水道、買い物、教育、通信などの公共サービスが不便になり、収入も確保できなけれえば、そこを離れる人も出てくるでしょう。

農林水産業が生み出す「食」は、わたしたちのおなかを満たすだけでなく、健康維持や地域の文化、食の文化、環境、教育、エネルギーなど多様な影響力があります。コロナ禍におけるパラダイム・シフトで、インバウンド頼みの経済成長や地域活性化が難しくなるなか、地域をどうするかを議論すべきときにきています。