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余人を持って代えがたい仕事で起業する。

 先週は求人誌にアルバイト募集の広告を掲載し、10名ぐらいの方と面接をしました。実にさまざまな経歴をお持ちの方々に応募いただきました。今回は短期の募集だったのですが、良い人がいれば長くつとめてもらいたいと思っています。みなさん真剣に仕事を探しているのを直接見聞きし、いろいろ考えさせられるところがありました。

 開業率と廃業率のことを調べてみたら、バブルが崩壊してから廃業率が開業率を上回っている状態が長く続いているようです。また大企業も業績が悪くリストラなどをしているため労働市場は縮小しているみたいですから、当然、就職するのは厳しくなります。私が大学を出たころはバブルの余韻が残るころでしたので、あまり苦労することなく社会人としてのスタートを切ることができました。

 うまく就職できればそれで良いのですが、もし就職に失敗したり、一度、就職をしたものの何らかの事情で無職となり、現在も就職活動中で、なかなか就職が決まらないのなら「起業」という手はどうでしょうか。起業したからといってうまく行く可能性は非常に少ないですが、検討するだけでも価値があると思います。

 企業生存率は諸説あるらしいのですが、最近では開業後約1年で約半分が廃業、撤退、5年後でには85%がいなくなり、10年後には6%しか残らないそうです。だからといって起業はしない方が良いということにはなりません。(ちなみに、30年後は0.2%としか残らないそうです。)

 起業すると、事業の大小にかかわらず経営者という立場になります。経営者という立場になると不思議と、お付き合いする仲間も経営者が多くなります。それは価値観が大きく変化したからだと思います。自分の事業を継続するために、その秘策を相談するには、きっと同じ価値観を持つ仲間が必用なのでしょう。

 一方で、起業してみたものの、仕事の実態は下請けばかりで自分の企画立案で事業を動かすことができていない。という人がいます。これでは自分で決定できることも少なく、ノルマや締め切りに追われて、いつ仕事を切られるかわからないという立場であり、雇われるよりもずっと厳しい状態になります。

 企業が下請けに出す仕事というのは、仕様があらかじめ決まっているもので比較的生産性が低く、内部で実施するとコストが高くなるようなものです。仕様書にそってできるだけ安くやってくれる業者を探すものです。高い、納期が守れない、クオリティが低い、気が効かない。そんな仕事ぶりではすぐに他に持っていかれます。いわゆる「コモディティ」というヤツです。

 競争相手がいるような仕事の場合、ちょっと気を抜くと下請け化することがあります。下請けは売上を立てるにはもっとも手っ取り早い手段です。でも、一度、下請けになってしまうとそこから抜け出すのが非常にたいへんだと思います。

 ネットで開業率、廃業率のことを調べていたら札幌市役所のホームページ内に資料がありました。札幌は政令指定都市の中では新規開業率が高い部類に入るようです。産業別では卸売、小売、サービス、飲食、宿泊が多いとうことです。開業率が高いということは廃業率も高いということです。廃業率が高いということは、競争相手がありお客さんを取り合うために利益率が低くなるということが推察されます。お客さんに「代わりはいくらでもいる。」と判断されている状態になっているのです。

 以前は主流であったと思われる小売業や卸売業で起業するのはこれから厳しい時代だと思います。人のつくった価値(商品やサービス)を、右から左に流す商売は、とても特殊なものか、あるいは相当な規模が求められます。小規模なものならば、Amazonとか楽天とか、ネットでサービスが提供されていますからね。

 「あなたじゃなければどうしてもダメなんだ。」という余人を持って代えがたい状態をつくるために、経営者は知恵を絞り、努力をすることを求められるわけです。でも、これって経営者だけじゃなくて、自分自身をプロデュースするのも同じことですね。

 起業して自分で商品開発したり新サービスを提供するなどの新価値をつくりあげて、それを利益に転換するというのは非常に大変なのですが、自分の事業の存在によって世の中の富が増える、つまりGDPに貢献し(適正な税金の使用と公平な税負担であれば)納税することは素晴らしい成果だと思います。

 私はまだ10年目、企業生存率6%程度の立ち位置ですが、これから起業する人たちを応援していきたいと思っています。自分で考えても出せない答えも、多少経験のある先達に聞けばすぐに解決するなんてこともあります。安定を求めるのも良いけど、ぶら下がらず、リスクを抱えて勝負するという生き方を選ぶ人が少しでも増えるといいですね。

 

Sapporo sangyo

札幌市産業の現状分析資料集(平成21年12月 札幌市産業振興部経済企画課)