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コンサルタントのブログ

農産物の輸出も戦略を持って

少し前の話になりますが、台北にマーケティングに行ってきました。
突然、決めた出張ですが、エクスペディアでは簡単に安価でツアー予約できるからいいですね。札幌から台北への直行便がありますので国内出張と変わりません。

さて、台湾では今年9月22日から日本からの牛肉の輸入を承認しました。
日本でBSEが発生した2001年以来、実に16年ぶりの輸出解禁です。

ご承知のように、日本では農産物の輸出が農林水産省の重要政策になっています。台湾の親日はよく知られていますが、日本への観光客も多く、日本で食べた牛肉(とくに和牛)は台湾でも高く評価、支持されるのではないかとの期待もふくらんでいるようです。

10月に入り全国の銘柄和牛がぞくぞくと輸出を開始しました。一般的には先にマーケットに出てブランド名が周知されるということは大きなアドバンテージになります。すぐに大都市の台北の高級スーパーを中心に多くの和牛が並んだそうです。

店頭に多くの和牛ブランドも置けないので、出遅れたブランドは、実質的な値引きをして売場を確保しようとします。もしかしたら、バイヤーに何らかのインセンティブを提示しているかもしれません。こうして、あっという間に価格競争に巻き込まれ終了するというパターンです。

輸出にはさまざまな予算がついているので、畜産農家や農協といった生産者サイドの人ばかりではなく、支援と称して行政関係者や金融機関なども一緒に行って営業している事例が多く見られます。彼らは、1回の実積があれば良いので、継続的な取引きにはあまり興味がないのかもしれません。先方のバイヤーにしてみれば、冷やかしにしか見えないのでしょう。

そもそも、こぞって有名スーパーのバイヤーを詣でるのではなく、地元の食肉卸業者やレストラン等の売り先もあると思うし、食べる人に近い人とじっくりとブランディングしていくというのが基本的な戦略だと思うのです。

 

カナダへつなぎ牛舎の搾乳ロボットを見に行った。

先週からこの木曜日まで、カナダのケベック州に出張してきました。

出張の目的は、Milkomax社を訪問すること。
同社は、つなぎ牛舎用の搾乳ロボットを製造、販売している会社です。

そのロボットとは、コレ 

カナダの東部、ケベック州やオンタリオ州には酪農家が多く、それも50〜60頭程度をつなぎ牛舎で飼養する小規模な家族経営が中心だそうです。日本ほどではないにしても、農業者の高齢化や担い手の問題はあり、これを解決するための手段として「つなぎ牛舎用搾乳ロボット」が最近になって普及しはじめました。それが、Milkomax社のROBOLEOがそれです。

ROBOLEOを導入しているいくつかの農場も見学させてもらいました。
1頭あたり移動時間を含めて1回の搾乳時間は約8分弱で1日3回搾乳するようセットされているのが一般的なようです。牛もよく慣れたもので、ロボットが背後に来ると自ら後ずさりでしてロボットにセットされ、搾乳されていました。これまでに大きな事故などもないとのことです。ロボットの設置に関して事前調査や取り付けや慣らしなどの周到なインストール・プログラムが用意されているそうです。多くのつなぎ型牛舎に後付けで設置することができるそうです。

搾乳ロボットに自動給餌機などを組み合わせることで、労働時間を大幅に減少させることができていました。訪問した牧場のひとつはひとりで1日6時間労働(主に監視業務)で60頭の牛を管理しているそうです。搾乳にかかる時間と労働から開放されたことで、牛をしっかりと見る時間もできたそうです。

つなぎ牛舎の多いケベック州周辺地域で、今後、ROBOLEOはさらに普及するでしょう。何より、同社では搾乳ロボットを売るという姿勢より、ロボットのある新たな働き方を提案し、酪農家をハッピーにする。というのが目的と言っていたのが印象的でした。

ところで、なぜ私が今回、同社を訪問したかというと、やはり、農業の現場でも、農業の現場こそ「働き方改革」が必要だと思ったからです。日本の少子高齢化はとめることができません。生産年齢人口はどんどん減少し、今のままでは働かない、働きたくても働けない高齢者がますます増えていくことでしょう。社会保障負担はますます増え、引退して年金をもらえるなんて保証はどこにもありません。

定年のない農業は、元気なうちは生き甲斐をもって働ける仕事だと思います。高齢者がこれまでの経験を活かしながら安全に安心して働ける環境をどう整備していくかが課題となります。そのために、低負荷な労働で、短時間で情報がしっかりと信頼できるシステムによって管理され、生産性を落とさない仕事の仕組みが必要だと考えたからです。

これに必要なのは、仕事のあり方や手順を見直し、ロボット化やIT化を推進し、働き手を「軽労化®︎(「軽労化」はスマートサポートの登録商標です。)」すべきだと思っています。つまり、さまざまな技術やツールを用いて「労働者の消費エネルギーあるいは労働負荷に対する生産性をいかに向上させるか」ということです。私が考える本質的で具体的な「働き方改革」です。

いままで慣れ親しんだ、身体で覚えた仕事の手順や仕組みを変えるのは用意なことではありません。現在の仕事は、おそらく長い時間をかけて合理的に組み立てられたものであると思います。しかし、例えば、今回、見てきたROBOLEOのような新しい機器を導入しようとした場合、いまの仕組みを抜本的に変える必要があります。Milkomax社が言う、最終的に顧客に喜んでもらうために、しっかりとしたインストール・プログラムがとても重要である。との言葉に強い共感を覚えました。

農業や地域のブランディングとデザイン

北海道ではお盆を過ぎると、日が暮れてから気温はぐっと下がり肌寒くなります。9月に入ると日中でも風が涼しくなります。今朝は、我が家の地域では10℃を下回りました。この季節は半袖で一日過ごせるか、ジャケットなどを持っていくべきか、毎日、朝、出かけるときに悩みます。

さて、久々のブログ更新となりましたが、10月に北海道各地で開催される「地理的表示(GI)をはじめとする農水産分野の知的財産活用セミナー」のご案内です。

→ http://www.fmric.or.jp/gidesk/event/

 

プログラム

1.セミナー

(1)農林水産分野における知的財産について  農林水産省食料産業局知的財産課
(2)トークセッション「GI登録して感じたこと」
夕張市農業協同組合【全会場】/ 登録産品:夕張メロン
十勝川西長いも運営協議会【帯広・釧路会場のみ】 /  登録産品:十勝川西長いも
モデレーター:GIサポートデスク
(3)質疑応答

2.個別相談会【相談時間は、1者につき30分程度】

 

セミナーのトークセッションのところで、私はモデレータとして参加します。また、個別相談会でも対応いたします。個別相談会は事前申込みが必要です。

セミナへの申込や事前相談会への申込は下記のリンクからお願いします。

→ https://ssl.alpha-prm.jp/fmric.or.jp/hokkaido.html

 

さて、GI制度も法律の施行から2年が経ちました。全国での認定案件は増えていますが、北海道では、「夕張メロン」、「十勝川西長いも」の2件が登録されているだけです。食の宝庫である北海道としては、少ないのでは?と多方面から指摘があります。GI制度への申請のお手伝いをするアドバイザーの立場としても、ぜひ、道内の農林水産品にはこの制度を利用してもらいたいと、あちこちに制度の概要等をお知らせしているところです。

地域、農産物、農場の「ブランド化」に関心がある方は多くいらっしゃいます。しかし、”何のためにブランドが必要なのか”を深く、戦略的に考えられている方はあまり多くないように思います。ブランド戦略には多くの情報が必要であり、組織であれば、ぶれない理念や、大げさに言えば覚悟が必要になると思うのです。

また、ブランドマークやロゴ、Webページなどの「デザイン」をすることと、ブランドが混同している事例も多く見受けられます。グラフィック・デザイナーにクールなロゴマークがついた名刺やウェブページを作成してもらうことで満足していませんか?

極端な話、農産物のブランドについては、かっこよいマークなどなくても、産地や品質、生産方法をしっかりと定義し、実直手に生産、販売することで、社会的な評価を得ることでブランド価値が高まるものです。このブランドの「定義」が重要なのです。将来的に安定的に生産可能な定義やルールであって、顧客の信頼を裏切らないものであるべきです。

北海道でGI申請案件が少ないのは、産地が知られ、その品質の社会的評価がある程度確立されていても、産地の範囲や生産方法がしっかりと定義づけられていないのが課題です。たとえば、産地の範囲を明確にしてしまうと、その範囲から外れる生産者はブランドの対象とならなくなります。たとえば、昔ながらの品種にある名称がつき、その種子は、生産者によって採種されているものだとして、生産者がその種を外部に売った場合、その種を買って栽培した農産物の扱いはブランド的にどうしたらよいでしょうか?

地域で生産に関わる多くの方々が、決められたルールを守り、戦略について合意形成をするというのは、実は容易な話ではありません。そこに「覚悟」が必要になるのです。

農政改革について

昨年の暮に政府が「農業競争力強化プログラム」を決定し、先般の国会で「農業競争力強化支援法」をはじめとする”農政改革8法案”が可決成立しました。先に成立した、改正農地法、改正農協法をふくめ、農政改革を実施する根拠法案が概ね出揃い、農政改革がいよいよ実行に移されようとしています。

先の国会で成立した「農業競争力強化支援法」の提出に至る過程で、農水省の法律案に当初記載のあった農業者の努力義務について自民党内でも問題になったようです。

その詳細については、農協新聞に詳しく書かれていますが、要はこういうことです。

【当初案】
「農業者は、その農業経営の改善のため、農業資材の調達又は農産物の出荷若しくは販売に関して、必要な情報を収集し、主体的かつ合理的に行動するよう努めるものとする」

【修正後】
「有利な条件を提示する農業生産関連事業者との取引を通じて、農業経営の改善に取り組む」

政府は農業者の自律的な経営を促したいようです。裏返して言えば、努力もしない、自立もできない農業者は農業者にあらず。ということのようです。

法律案が修正されたからといって、農政改革のベクトルは変わることもなく。農業者の皆さんは、収益性を高めるなど、よりよい経営を目指して努力をしなければなりません。これは、ここで農業者とは、個人営農の方ばかりではなく、農協等も含まれます。

「収益性を高め、より良い経営をを目指すために努力する。」このように文字に起こしてみると、当たり前のことのように思います。一般の事業者では当然のことだし、努力せずに経営が行き詰まっても誰も同情してくれる人はいません。自業自得というやつです。

しかし、農業というのは、生命のインフラ産業であり、国家の安全保障を担っている産業でもあります。儲からないからといって産業としての農業を切り捨てると、日本の国民は食べていくことができません。たとえ、大赤字であっても、税金を投じて農地を守り、農業者の経営を支えていかなければならないのです。それを政府がどのように考えるか。それが農政改革です。

そもそも、農地法や農協法、すでに廃止になって久しい食管法など農業まわりの法律というのは、国家の安全保障上の食料安定供給を目的に戦後の食糧難の時代に制定されたものです。経済成長下で人口増加するなかで、いかに効率よく食料を増産し、効率的に集荷し、安価で市場に供給するかが国家存亡をかけた政治的な判断だったはずです。

ところが、1980〜1990年代にかけて食料が余りだし、飽食の時代などと言われるようになりました。減反政策が敷かれ、米から麦や豆などへの転作が奨励されるようになりました。2,000年代に入ると、高齢化が社会問題になり、2010年代にはついに人口減少局面に入りました。世界的にも自由貿易が標準化されつつあり、食料、農業も例外ではなくなりました。そこで、ついに抜本的な農政改革を断行することになったのでしょう。

農業が国家のインフラ産業であるという事実は、なにも日本だけに限ったことではありません。すべての国民が安心して食べていけるようにするのはどこの国でも一緒です。自国の農業を守りながら、農業を強い産業として育成するというのが各国農業のせめぎあいなのでしょう。とくに、日本とヨーロッパの国々は、高齢化や人口減少などの社会構造を抱えているので、輸出に向けた取り組みは急務となっています。これが「農業競争力の強化」なのです。

この農政改革の断行に関しては、急激な改革を望まない人たちからは大きな反発があります。しかしながら、すでに法律は成立して、あとは昨年末に決定した「農業競争力強化プログラム」の実行あるのみとなりました。政府はさっそく、この農業競争力強化プログラムに関する説明会を各地で実施しています。

あとは、個人や農協が具体的にどう取り組むのか、まずは、営農コストを下げるために、肥料や農薬等の資材を安価で仕入れること。そして、生産した農産物を市場に出すだけでなく、消費者等に直接販売することで、より有利販売につなげることが求められます。

具体的には、単肥の効率的仕入れと土壌分析によるBB肥料の活用や、産直ブランドによる消費者への産地の周知、GーGAPなどの第三者認証による信頼性の獲得など、できること、やるべきことはいくらでもあると思います。個人農業者、法人営農者、農協等、それぞれが地域のなかで役割分担することもできるでしょう。

なぜ、地域かというと、農業競争力強化プログラムの実行は、近隣産地との競争を意味すると思うからです。競争に勝つためには、戦略が必要です。戦略を実施するためには、技術や投資が必要になります。これから10年間で戦略的に地域農業に投資ができるかどうか。いま、農業は時代の変革点にあると思います。何しろ、政府は農業者に対して、努力を求めていますから、いま、努力をしなければ、残念ながら次世代に残っていくのは難しいでしょう。

大規模化と人手不足とIT農業

先日、某生産者が集まる勉強会で大規模にブロッコリを生産されている農場で話を伺う機会を得ました。もう、見渡す限りのブロッコリです。作型も十数におよびこれからの管理作業や収穫作業で、どれだけの「人による作業量」があるのだろう?と心配になって質問したのですが、これから毎日、数十人のパート労働者を確保しているので大丈夫。とのことでした。その労働力の募集方法には驚きましたが・・・

都市部でも「人が足りない!」と言われているのに、ただでさえ、人の少ない農村部で労働力を確保するのは容易であるはずがありません。私が住んでいる札幌近郊の農業者も、人手の確保が難しいので、高収益な野菜などの手のかかる作物は諦めて、ぜんぶ機械収穫できるものにした。という話はよく聞きます。人手の確保が農業経営上の大きな問題となっているのです。

 

一方で、作業用品を取り扱うお店に行くと、おしゃれな農作業着や長靴などがたくさん売られています。お店の方に伺うと、最近ではサラリーマンの主婦などが農家パートに出かけるときに、このお店で買ったお気に入りの作業着を着ていくそうです。売上も好調とのことでした。
作業用品店といえば、現場で働く男たちのプロショップというイメージがあります。そこに、女性がプロの農作業員として出入りするようになったようです。

このような主婦をはじめ、農作業の担い手を上手に増やすことが農業の付加価値向上、収益力の増加には欠かせない取り組みであると思います。健康増進に役立つ健康的でおしゃれな仕事として定着するような仕組みづくりはできないものでしょうか?