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コンサルタントのブログ

日本農業最大の危機は「労働力不足」

 2016年度の農耕作業員の有効求人倍率は1・63倍、養畜作業員は2・34倍と、全産業平均の1・25倍を上回り、人手不足は深刻な課題だ。(日本農業新聞 2017.12.28

有効求人倍率は常時雇用の求人が対象だが、JA全中は「農繁期などだけの短期アルバイトも確保しづらくなっている」(JA支援部)とみる。(1)これまで作業を頼んでいた親族や地域の女性らが高齢化でリタイアした(2)他産業も求人を増やし時給を上げる中、代わりを見つけられない――ケースが多いという。

盛岡市の野菜農家は「募集をかけても人が集まらないという農家が多い。短期間だけ来てもらうのは難しく、コンビニエンスストアで働いた方がいいと言われる」と語る。肉体労働に加え、短期間限定で作業時間が天候に左右される農業は稼ぎにくく、敬遠されているようだ。(日本農業新聞 2017.07.30

どの産業でも人手が足りないと言われている中、農業、畜産に関しては他産業と比較しても人が足りない状況になっています。わたしのまわりでも、収穫等の一時的な作業に人手のかかる作物は敬遠し、コンバイン等の機械力で収穫可能な作物しか作れないと言われている農業者もいます。一般的に人手がかかる作物は収益性が高いのですが、播種しても収穫期の人手を見込めないなどの理由があるようです。

私はいまの農業にとって最大の危機は、農業における「労働力の不足」だと思っています。やがて、今の農業者だけでは日本の農地の生産性を最大限活用することはできなくなるでしょう。

農業の生産性は、その農地から生産される農産物の経済性で評価することができます。もちろん、農地が農地として機能していて、何らかの作物が生産されていることは重要ですが、いわゆる、補給金等を目的として播種しただけの”捨てづくり”などは、農地の機能を活かしているとは言えません。また、高い生産性がある土壌では、より付加価値の高い農産物を生産して経済的な優位性を高めるべきだと思っています。より付加価値が高い農産物とは、消費者が買い支える動機があるものであり、しっかりとしたマーケティングができている農産物のことです。量的生産性から経済的生産性への転換が必要ではないでしょうか?

では、どのような解決手段があるのでしょうか?

ひとつは、農業への参入障壁を下げることです。これについては、これまでも議論されていましたが、今の農業者で農地生産性を確保できないならば、新たな担い手に頼る以外にはありません。その担い手は新規参入者だったり、企業だったり、外国人であることもあるかもしれません。

もうひとつは、投入労働力(消費エネルギー)に対する生産性を高めることです。IT技術やロボット技術、AIなどをフル活用することです。トラクターの自動運転や作物の生育診断とドローンなどによる自動防除、自動収穫機の開発等、いま話題となっているさまざまな技術をブラッシュアップして実用化することが必要です。

そのためには、俯瞰的に農業を見ることができる「農業経営者」の育成が必須です。いま、農業をしている人のどれぐらいが、「農業経営者」といえるでしょうか?多くは「農作業者」なのではないでしょうか?また、技術開発も国や地方自治体の試験場等がリードするのではなく、民間企業の技術の移転や、ベンチャー企業の育成が必要ではないでしょうか?

謹賀新年 2018

2017年10月 カナダ モントリオールにて

新年 あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願い申し上げます。

2018年 元旦

 

今年は札幌の自宅でのんびりと年越しをしました。三が日も自宅で過ごすつもりです。

さて、年齢を重ねるとともに時の流れる速度を早く感じるというのは、ジャネーの法則ですが、昨年はその法則の2倍ぐらい早く感じました。これまで、ずいぶんとビジネスの種をまいてきましたが、ようやく芽吹きはじめ、肥料や水をあげるのに忙しい1年でした。

株式会社リープスは4月で設立15年を迎えます。また、私が創業した株式会社スマートサポートが10月に設立10年、一般社団法人 The  Earth Cafe も7月に5周年(創業から10年)を迎えます。そして、私は昨年50歳の節目の歳を迎えました。

この人生の区切りともいえる1年の始まりを先ほど、近くの鎮守様で安寧であるように祈願し、おみくじを引いたところ「末吉」でした。これが転じて「大吉」となるよう、そっと神社の結び所にそっと置いてきました。

このブログでも何度も書いていますが、日本という国の社会構造が少子高齢化によって大きく変化しています。昭和時代の高度成長を経験した世代やわたしのようにバブル世代が50歳以上となりました、おじさんたちの古い昭和のビジネスの常識、秩序や成功体験が、いよいよ社会で通用しなくなるでしょう。そうすると若い世代が、柔らかい頭でゼロベースからモノを考えなけければならなくなります。世界がどのように変化しているのか、国際的な視野を持つことも重要になるでしょう。

私もこの数年は極力、常識にとらわれず、ゼロベースで考えようと努力することを習慣化しています。同世代から上の人たちには、まったく理解されないこともあります。年配の方々に理解されないのは仕方ないにしても、保守的な若い人たちに理解されないのは残念なことです。とくに、公務員や資格で生計を立てている人、長いこと保守的な大企業で働いている人に多いようです。そのような方々は、これまでは社会的な地位が高いと自他とも感じていると思われるように思います。それも、過去の常識の遺物だと考えるようにしています。

今年は、昨年までに芽吹いた種を、ある程度間引きし、大きく育てる歳にしたいと考えています。社会が大きく変化していくなかで、先入観のない視点を持てば、チャンスはいくらでもあると思います。

本年もひきつづきお引き立て賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

鈴木 善人

農産物の輸出も戦略を持って

少し前の話になりますが、台北にマーケティングに行ってきました。
突然、決めた出張ですが、エクスペディアでは簡単に安価でツアー予約できるからいいですね。札幌から台北への直行便がありますので国内出張と変わりません。

さて、台湾では今年9月22日から日本からの牛肉の輸入を承認しました。
日本でBSEが発生した2001年以来、実に16年ぶりの輸出解禁です。

ご承知のように、日本では農産物の輸出が農林水産省の重要政策になっています。台湾の親日はよく知られていますが、日本への観光客も多く、日本で食べた牛肉(とくに和牛)は台湾でも高く評価、支持されるのではないかとの期待もふくらんでいるようです。

10月に入り全国の銘柄和牛がぞくぞくと輸出を開始しました。一般的には先にマーケットに出てブランド名が周知されるということは大きなアドバンテージになります。すぐに大都市の台北の高級スーパーを中心に多くの和牛が並んだそうです。

店頭に多くの和牛ブランドも置けないので、出遅れたブランドは、実質的な値引きをして売場を確保しようとします。もしかしたら、バイヤーに何らかのインセンティブを提示しているかもしれません。こうして、あっという間に価格競争に巻き込まれ終了するというパターンです。

輸出にはさまざまな予算がついているので、畜産農家や農協といった生産者サイドの人ばかりではなく、支援と称して行政関係者や金融機関なども一緒に行って営業している事例が多く見られます。彼らは、1回の実積があれば良いので、継続的な取引きにはあまり興味がないのかもしれません。先方のバイヤーにしてみれば、冷やかしにしか見えないのでしょう。

そもそも、こぞって有名スーパーのバイヤーを詣でるのではなく、地元の食肉卸業者やレストラン等の売り先もあると思うし、食べる人に近い人とじっくりとブランディングしていくというのが基本的な戦略だと思うのです。

 

カナダへつなぎ牛舎の搾乳ロボットを見に行った。

先週からこの木曜日まで、カナダのケベック州に出張してきました。

出張の目的は、Milkomax社を訪問すること。
同社は、つなぎ牛舎用の搾乳ロボットを製造、販売している会社です。

そのロボットとは、コレ 

カナダの東部、ケベック州やオンタリオ州には酪農家が多く、それも50〜60頭程度をつなぎ牛舎で飼養する小規模な家族経営が中心だそうです。日本ほどではないにしても、農業者の高齢化や担い手の問題はあり、これを解決するための手段として「つなぎ牛舎用搾乳ロボット」が最近になって普及しはじめました。それが、Milkomax社のROBOLEOがそれです。

ROBOLEOを導入しているいくつかの農場も見学させてもらいました。
1頭あたり移動時間を含めて1回の搾乳時間は約8分弱で1日3回搾乳するようセットされているのが一般的なようです。牛もよく慣れたもので、ロボットが背後に来ると自ら後ずさりでしてロボットにセットされ、搾乳されていました。これまでに大きな事故などもないとのことです。ロボットの設置に関して事前調査や取り付けや慣らしなどの周到なインストール・プログラムが用意されているそうです。多くのつなぎ型牛舎に後付けで設置することができるそうです。

搾乳ロボットに自動給餌機などを組み合わせることで、労働時間を大幅に減少させることができていました。訪問した牧場のひとつはひとりで1日6時間労働(主に監視業務)で60頭の牛を管理しているそうです。搾乳にかかる時間と労働から開放されたことで、牛をしっかりと見る時間もできたそうです。

つなぎ牛舎の多いケベック州周辺地域で、今後、ROBOLEOはさらに普及するでしょう。何より、同社では搾乳ロボットを売るという姿勢より、ロボットのある新たな働き方を提案し、酪農家をハッピーにする。というのが目的と言っていたのが印象的でした。

ところで、なぜ私が今回、同社を訪問したかというと、やはり、農業の現場でも、農業の現場こそ「働き方改革」が必要だと思ったからです。日本の少子高齢化はとめることができません。生産年齢人口はどんどん減少し、今のままでは働かない、働きたくても働けない高齢者がますます増えていくことでしょう。社会保障負担はますます増え、引退して年金をもらえるなんて保証はどこにもありません。

定年のない農業は、元気なうちは生き甲斐をもって働ける仕事だと思います。高齢者がこれまでの経験を活かしながら安全に安心して働ける環境をどう整備していくかが課題となります。そのために、低負荷な労働で、短時間で情報がしっかりと信頼できるシステムによって管理され、生産性を落とさない仕事の仕組みが必要だと考えたからです。

これに必要なのは、仕事のあり方や手順を見直し、ロボット化やIT化を推進し、働き手を「軽労化®︎(「軽労化」はスマートサポートの登録商標です。)」すべきだと思っています。つまり、さまざまな技術やツールを用いて「労働者の消費エネルギーあるいは労働負荷に対する生産性をいかに向上させるか」ということです。私が考える本質的で具体的な「働き方改革」です。

いままで慣れ親しんだ、身体で覚えた仕事の手順や仕組みを変えるのは用意なことではありません。現在の仕事は、おそらく長い時間をかけて合理的に組み立てられたものであると思います。しかし、例えば、今回、見てきたROBOLEOのような新しい機器を導入しようとした場合、いまの仕組みを抜本的に変える必要があります。Milkomax社が言う、最終的に顧客に喜んでもらうために、しっかりとしたインストール・プログラムがとても重要である。との言葉に強い共感を覚えました。

農業や地域のブランディングとデザイン

北海道ではお盆を過ぎると、日が暮れてから気温はぐっと下がり肌寒くなります。9月に入ると日中でも風が涼しくなります。今朝は、我が家の地域では10℃を下回りました。この季節は半袖で一日過ごせるか、ジャケットなどを持っていくべきか、毎日、朝、出かけるときに悩みます。

さて、久々のブログ更新となりましたが、10月に北海道各地で開催される「地理的表示(GI)をはじめとする農水産分野の知的財産活用セミナー」のご案内です。

→ http://www.fmric.or.jp/gidesk/event/

 

プログラム

1.セミナー

(1)農林水産分野における知的財産について  農林水産省食料産業局知的財産課
(2)トークセッション「GI登録して感じたこと」
夕張市農業協同組合【全会場】/ 登録産品:夕張メロン
十勝川西長いも運営協議会【帯広・釧路会場のみ】 /  登録産品:十勝川西長いも
モデレーター:GIサポートデスク
(3)質疑応答

2.個別相談会【相談時間は、1者につき30分程度】

 

セミナーのトークセッションのところで、私はモデレータとして参加します。また、個別相談会でも対応いたします。個別相談会は事前申込みが必要です。

セミナへの申込や事前相談会への申込は下記のリンクからお願いします。

→ https://ssl.alpha-prm.jp/fmric.or.jp/hokkaido.html

 

さて、GI制度も法律の施行から2年が経ちました。全国での認定案件は増えていますが、北海道では、「夕張メロン」、「十勝川西長いも」の2件が登録されているだけです。食の宝庫である北海道としては、少ないのでは?と多方面から指摘があります。GI制度への申請のお手伝いをするアドバイザーの立場としても、ぜひ、道内の農林水産品にはこの制度を利用してもらいたいと、あちこちに制度の概要等をお知らせしているところです。

地域、農産物、農場の「ブランド化」に関心がある方は多くいらっしゃいます。しかし、”何のためにブランドが必要なのか”を深く、戦略的に考えられている方はあまり多くないように思います。ブランド戦略には多くの情報が必要であり、組織であれば、ぶれない理念や、大げさに言えば覚悟が必要になると思うのです。

また、ブランドマークやロゴ、Webページなどの「デザイン」をすることと、ブランドが混同している事例も多く見受けられます。グラフィック・デザイナーにクールなロゴマークがついた名刺やウェブページを作成してもらうことで満足していませんか?

極端な話、農産物のブランドについては、かっこよいマークなどなくても、産地や品質、生産方法をしっかりと定義し、実直手に生産、販売することで、社会的な評価を得ることでブランド価値が高まるものです。このブランドの「定義」が重要なのです。将来的に安定的に生産可能な定義やルールであって、顧客の信頼を裏切らないものであるべきです。

北海道でGI申請案件が少ないのは、産地が知られ、その品質の社会的評価がある程度確立されていても、産地の範囲や生産方法がしっかりと定義づけられていないのが課題です。たとえば、産地の範囲を明確にしてしまうと、その範囲から外れる生産者はブランドの対象とならなくなります。たとえば、昔ながらの品種にある名称がつき、その種子は、生産者によって採種されているものだとして、生産者がその種を外部に売った場合、その種を買って栽培した農産物の扱いはブランド的にどうしたらよいでしょうか?

地域で生産に関わる多くの方々が、決められたルールを守り、戦略について合意形成をするというのは、実は容易な話ではありません。そこに「覚悟」が必要になるのです。