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農産物ブランディングで最も重要なこと

地理的表示保護制度(GI制度)は、一昨年(平成27年)に新たにできた制度で、「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(地理的表示法)」にもとづいて、地域で永年培われた生産方法や、気候、風土、土壌などによって、高い品質と社会的な評価を獲得するに至った農林水産物を国が認定するものです。

一般的には”結果として”「ブランド化」された産品が認定されています。北海道からは、現在までに、「夕張メロン」と「十勝川西長いも」が認定されています。

私はこの制度ができたときから、生産者団体がこの制度への申請をしようするのをサポートする「GIサポートデスク」の北海道担当アドバイザーをしています。この2年余りの間に多くの生産者からの相談を受けて農産物のブランド化の問題点がだんだん見えてきました。

その中で、もっとも重大な問題点は、「ブランドが定義できない。」ということです。

社会的によく知られた生産物があったとしても、そのブランドを宣言できる要件がしっかりとしていないということです。つまり、そのブランドの管理者が、どこまでがブランドとして品質を担保できるかが曖昧なのです。

たとえば、「◯◯大根」という地名を冠した著名な農産物があったとして、この特性とその特性を発現させるための生産方法が定義されていません。ここで、生産方法というのは、品種や育苗方法、気候や土壌、特殊な栽培方法などをイメージしてもらえば良いのですが、たとえば、土壌環境がその農産物の特性の決め手となるはずなのに、火山灰土壌でも重粘土壌でも作られているとか、品種が特殊であるにもかかわらず、種の管理がされおらず、誰でも入手可能な場合、その「名称」を名乗れる人が広い範囲に存在していて、同じ名称の農産物にも関わらず、品質にバラツキがあり、消費者の期待を裏切ってしまうだろうな。と思われるようなものです。

そもそも、なんとなく「ブランド化」されていても、そのブランドを管理する人がいなかったりする場合があります。よくあるのが、生産者はつくるだけで、流通や販売は、農産物の卸業者などが担っていて、実際にブランド管理をしているのは、生産者ではなく、流通業者だったりする事例もよく見られます。流通業者にしてみれば、これまで、時間とお金と営業力を駆使して、ようやく知られるようになったのに、突然、生産者が「これからブランド管理は生産者がやります。」と言われても困ってしまうでしょう。

ブランドとは、生産者側が決めるものではなく、消費者等の実需者がその価値を決めるものです。消費者の中でブランドとして確立されるまでには、長い年月がかかっています。それを短期間でブランディングしようとするのは、そもそも無理があります。

最近は農協の広域合併も盛んに行われていますが、合併によって農協の名称が変わると、農産物のブランド名称まで変わってしまう場合もあります。また、隣接するした産地が同じ農産物でそれぞれブランド価値が社会的に評価されていた場合、ブランドを統合してしまうと、ブランド価値を毀損してしまう場合もあります。

ブランドは顧客(消費者)との信用の積み重ねという意識をもって、戦略的な対応が重要になります。