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改正農協法では農協の営業力が試される

昨年の4月、22年ぶりに農協法が改正されました。改正農協法では、「農協組織における主役は、農業者。次いで地域農協。」と示しています。そもそも農協は農業者が自らの利益のために自主的に設立した組織であり、優先的にメリットを享受すべきは農協ではなく、農業者であるという当たり前のことをわざわざ示しています。それだけ、農協という組織は”本末転倒”であるように国会では見えていたのでしょう。
農業者がメリットを得られるよう、「農協は自立して創意工夫で自由に経営展開を行う」よう強く求めています。
ここがポイントで、これまで、JAは破綻を未然に防ぐために中央会による経営指導や監査を受けていました。つまり、急に”自立して創意工夫で自由に経営展開しなさい”と言われても、そのための組織や人材は、ほぼ持ち合わせていないのが現状ではないでしょうか?

そもそも旧農協法が施行された昭和22年といえば、戦後間もない頃で食料需給が逼迫していました。食料を増産し安定的に供給するのが主たる目的であった時代であり、政府管理のもと農産物を効率的に集荷し、一元的に市場出荷することが優先されていました。つまり、「作れば(勝手に)売れた」時代であったといえます。農協を含む生産者は増産することだけに集中することができました。
ところが、いつからか食料は過剰傾向になり”飽食(豊食)の時代”を迎えることになります。経済的に豊かになり、海外から安い食料が輸入されるようになって、食料自給率は40%まで低下しました。農業者が高齢化し産業としての農業が弱体化しています。
さらに今の日本は少子高齢化、人口減少、市場開放という時代の局面にあって、ますます農業をめぐる情勢は厳しくなってきています。
農協も市場を分析しつつ消費者、実需者のニーズに対応し、有利販売しなければ収益を得ることが難しい時代であることは間違いなく、そんな背景があっての今回の農協改正で、「農協は自立して創意工夫で自由に経営展開を行う」ことが求められることになりました。
農業者メリットを創出するために、「創意工夫をもって自由に経営展開をする」した場合、何が起こるでしょうか?

当然ながらそれぞれの農協は自らの営業力で市場に農産物を売り込んでいきます。隣接する農協も似たような気象や土壌環境ですから、農産物の種類も概ね似通ってきます。そうすると、”激しい産地間競争” が起きるのではないでしょうか?
競争に勝ち抜くためには、つまり、消費者に選ばれるためには、価格や品質、ストーリー、ブランドで差別化を図らなければなりません。

これまで「差別化」なんて言葉は農業の現場にありませんでした。差別化を強調するために手っ取り早くできる方法が「ブランド化=ブランディング」です。地域の名称を上手にデザインしたロゴを作成し、衆目を集める。農産物の袋やダンボールにロゴをあしらって販売する。そんな、表面上のブランディングがあちこちで行われています。これは、農協だけでなく、いわゆる「個撰」で販売している個別農家レベルで行われていることです。
しかし、このようなブランディングは自分たちの自己満足で終わっている例が多く、継続性や効果の検証などはあまり行われていません。

そもそも、他の地域と比較して、自分たちの地域で優位なのは何なのか、土壌や気候、技術、品種・・・、さまざまな要因から、消費者に共感する品質やストーリーをしっかり見つけることが欠かせません。ブランドづくりには、綿密な構想が必要であり、満を持して世の中に出していかなければならないと思います。一度、世の中に出してしまうと、それを正すために長い時間と労力、資金がかかるものです。
だから、営業や販売に不慣れなスタッフが思いつきで産地ブランディングを実施するのはたいへん危険なことだと思います。