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デンマークの有機養豚

デンマークは養豚が盛んな国である。この国を訪れる前から知識としてなんとなく知ってはいましたが、実際にデータを調べるとEUにおける豚肉生産量の7.2%、豚肉輸出の16.6%を占める養豚大国であることがわかりました。(財団法人農畜産業振興機構
日本にとっても重要な輸入相手先であり、シェア2割を占める3番目の輸入先だそうです。今回、訪れた養豚農家も日本市場を強く意識しており、農産物の国際流通の圧力は高まっていると感じました。

私たちは、昨年の11月25日にホルスタブロの有機養豚農家「Hestbjerg Økologi」を訪れました。


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デンマーク語の Økologi は Ecology のことで、「有機」ということなのですが、有機養豚の基準が何なのかイマイチ調査不足なのですが、経営者の環境保全や家畜福祉への取組みにはたいへん関心させられました。

この牧場は家族経営の古い農場の13代目であり、現在の若き経営者が経営移譲を受けたのが1995年だったそうです。当時は110haの農地でしたが、現在はおよそ3倍の面積になっているということです。この牧場では養豚に専念しており近くに住む親戚が飼料生産をしています。デンマーク養豚の国際競争力が高い理由は、飼料となる穀類を農家単位で生産、つまり自給していることにあるそうです。

デンマークの研修旅行のひとつが有機養豚の見学でした。それは酪農学園大学の養豚の専門家である上野さんのリクエストによるものです。上野さんは奄美の黒豚を北海道に導入してブランド化するなどしているそうです。私は今回の旅行ではじめてお会いしたのですが豚の知識と情熱には圧倒させられました。上野さんはジャパニーズ・ポーク・プロデューサーとし紹介されていました。そこまで明快に紹介されるプロフェッショナル性が非常に羨ましいと思いました。(農業コンサルタントでは、明快さに欠けます。)

ポーク・プロデューサーの上野さん

複雑なEco(有機)のルールがあるようなのですが放牧が基本のようです。ただし冬の間は妊娠している豚は豚舎内で飼われるそうです。出産後の豚は子豚とともに放牧され49日後に離乳します。豚は8グループに分けられ3週間毎に移動させるそうです。

豚はその鼻で土を掘るのですが、放牧中の豚は土を掘らないように鼻輪をつけるそうです。

この農場の職員数は9名。社長も若いですがスタッフも若くわきあいあいといった感じでした。有機養豚は既存の養豚と比べて人手が必要であり、人件費もかかるということです。有機養豚の概念が生まれたのは1995年であり、いまだに飼養方法が確立されていないそうです。

今回の研修旅行では、この農場の見学に先立って養豚生産者の組合が運営するDanish Crown(← リンク先は英語サイト) のホーセンスにある屠畜、加工場も見学してきました。残念ながら写真は禁止だったのですが、同社のホームページにバーチャル工場(スローターハウス=屠場)見学の特設サイトがあります。少々、ショッキングな写真もあります。

3秒に1頭のスピードで屠畜から加工までできる最先端のスローターハウスはロボット技術が導入されておりたいへん衛生的なものでした。家畜福祉にも配慮された仕様だそうです。ここから日本にも輸出されてるのですが、日本は要求する基準がたいへん厳しいそうです。最近では中国も重要な顧客になっているそうです。中国は日本では食べないような部位を好んで輸入するのだそうです。

経営者は若く、養豚に意欲的に取り組む企業家という印象です。日本の和牛を例に出し、豚も飼い方を変えれば、より良い品質の豚肉を作れるし、先進国の消費者はそれを理解して高い価値を認めるはずだといいます。有機養豚でオリジナルの飼養方法を考え、開発するのはたいへんエキサイティングだといい、いつか自分のブランドを日本市場にも持っていきたい、Danish Crownでも有機専門のブランドをつくればマーケットは現在の倍になるだろう。そうすればスタッフも独立させていきたい。と大きな夢を語っていました。

現在はコペンハーゲンの「ノーバ」というレストランで彼の豚肉を食べることができるそうです。

広いオフィスには大きなミーティングテーブルがあり、ここでスタッフミーティングをしたり、宴会をするそうです。卓球台なども置いていました。まるで成長中のベンチャー企業のオフィスのようでした。

ここにも普及センターの専門家が経営をしっかりとサポートしています。

私が今回の研修旅行で最も印象を受けたのは、デンマークの農業普及の仕組みと農業者の教育システムです。経営者の農業に対するフェアで高い志しと国際競争力の源泉を垣間見ることができました。

研修旅行から3ヶ月がたってようやく見学した施設の概ねの紹介をすることができました。他にも普及センター等の見学があったのですが、それは今後の更新で詳しくご紹介したいと思います。